2025年 09月 06日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-2
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-2
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
11・更級百合 (さらしな ゆり)
信州・更科山(さらしなやま)および園原(えはら)に産する。
前条の忍百合の白花なる者なり。
少し忍百合より大花なり。
蘂(しべ・*花の中のおしべ、めしべ)は、褐色にして、香気あり。
これ又、笹百合の一種なる者なり。
その根、至りて小なるものなり。

鉄砲筒咲類
12・麝香百合(じゃこうゆり)
今、諸州に多し。
茎、短くして花、中輪なり。
筒、咲きにして横へ向かい、白色にして、香気、甚だの故に麝香百合(じゃこうゆり)の名あり。
4月、花を開くなり。
又、琉球百合(りゅうきゅうゆり)又、鉄砲百合とも云う。
昔、琉球国より、この種を舶来せり、と云う伝へあり。
蘂(しべ・*花の中のおしべ、めしべ)は、茶褐色の紛を帯びる。
その後、象山貝母の如き実を結ぶ。
その根、山百合(やまゆり)の如し。

13・高砂百合 (たかさご ゆり)
麝香百合(じゃこうゆり)の一種。
葉、銀邉りなる者なり。
この種の初めは、武州・巣鴨村 花戸(*植木屋)長太郎 某(なにがし)が、この種を鬻ぎ
(ひさぎ・*売り)始めたり。
故に、今、世俗に長太郎百合と呼ぶ者、これなるべし。

14・銀邉百合 (つるだ ゆり)
これも麝香百合(じゃこうゆり)の一種。
葉、少し短く、円(まろ)なり。
葉の邉り(ほとり)は、細銀邉成る者なるが如し。
鶴田(つるだ)某(なにがし)と云う者、この種を世上の弘(ひろ)めたり。
故に、鶴田(つるだ)百合と云う。
長太郎百合より下品なる者なり。

15・為朝百合 (ためとも ゆり)
昔、八丈島より源 為朝(ためとも)、この種を持ち渡らし事から云うなり。
故にその名あり。
形は鉄砲百合の如く、葉、少し短く細し。
6月、土用中に黄花を開く。
内、淡黄色、外、淡褐色および黒斑あり、今は、世上に至りて少なし。

16・保百合 (たもつ ゆり)
琉球国に多し。
今は、處々(ところどころ)の花戸(*植木屋)にて育し(*育て)、鬻ぐ(ひさぐ・*売る)。
葉、光沢あり、白花にして、銀箔(ぎんはく)の如し。
大輪、天(そら)に向いて開く。
雨中、水、九分までたもち、故に名付ける。
その余、たまる時、水は一度にこぼれる。
今、誤りて、袂百合(たもと ゆり)と云う如し。

17・波堅百合 (はかた ゆり)
これも麝香百合(じゃこうゆり)の一種。
葉は、山百合の葉の如く、先は円(まろ)く、皺文(しんもん)、少しあり。
花は琉球百合の如し。
微し(すこし)紅色を帯びる。4、5月、花を開く。
香気あり、その根、麝香百合(じゃこうゆり)の如く。
但し、この種の根は、鞠子(まりこ)の白色なる者なれど、鉄砲百合の根と異なる如し。

18・鞠子百合(まりこゆり)
この物は、前条の波堅百合(はかた ゆり)の花薄紫にして、中輪なる者なり。

鹿子百合類
19・虎皮百合 (かのこ ゆり)
今、世上に多し。
葉は、油点草(ゆてんそう・*ほととぎすそう)の如し。
茎、卷丹(をにゆり)に似たり。
葉、対生にして光沢、あるいは三道(さんどう)なりて、玉簪葉(ぎぼしのは)に似て細し。
花は7月に至りて枝を茎頂(くきてい)に分かちて白花を開き白色、そこに紅を帯び、黒星ありて、巻丹(をにゆり)の如し。
しべ

20・雪山百合 (みねもどき ゆり)
虎皮百合 (かのこ ゆり)の白花なる者なり。
御薬苑雪山と云う者、これなり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-3 に続きます。
2025年 09月 05日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-1
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-1
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
*行方 水谿(なめかた すいけい)は、江戸後期に活躍した本草家であり、本書は明治6年(1873年)に執筆された百合に特化した植物画譜であり、ユリの葉や花弁の細部まで丁寧に描かれ、絵画としての美しさも兼ね備えているものです。
笹百合類
01・高山百合 (たかやま ゆり)
飛州(ひしゅう・*飛騨の国の別称)高山に産する。
形状は筑波百合の如し。
花は少し大きく、又、苞(つぼみ)に淡紅色を帯びる。
筑波百合より紅色なり。
筑波百合の苞(つぼみ)の外に淡黄色を帯びるもとは異なる。

02・濱百合 (はまゆり)
京師(*京都)に多し。
葉は早百合(さゆり)の如し。
花は十分に開かずして、微し(すこし)半天(なかばそら)に向く。
色、淡青にして淡紅紫色の帯あり。
6月、土用中に花を開く。
葉、笹百合より少し短く、円(まろ)し。
その根、笹百合と同じ。

03・竹林寺百合
摂州・竹林寺山中に稀にあり。
早百合(さゆり)の一種。
細葉にして、5月に花を開く。
筒本(つつもと)および苞(つぼみ)の外、淡黄色なり。
花弁は尖(とげ)り、緑筋にして、心中、黄色半ば(なかば)上は、紅色中央は、白色成る者なり。
至って美なり。

04・城州百合 (くらま ゆり)
城州(じょうしゅう・*山城国の別名)鞍馬山中に産する。
苗の高さ5、6寸許り。
細葉にして紫班あり、茎にもあり、5月中に花を開く。
形、早百合の如し。
淡黄色に紅絞(べにしぼり)あり。
世上に至って、少なし。
これ又、笹百合の一種なり。

05・蓮花百合 (れんか ゆり)
城州(じょうしゅう・*山城国の別名)朝日山および嵐山などに産する。
笹百合の一種。
淡緑色にして紫斑あり。
葉、至って細く、綬草葉に似て長し。
4、5月頃、白色で細弁の花を開く。
弁の辺りは、淡紅色で中心が白色になり、外咢にて淡黄色を帯び、久しく日を見ず、弁先は褐色に腐す。
その根、早百合の如し。

06・黒駒百合 (くろこま ゆり)
甲州・黒駒山に産する。
早百合の一種。 葉、細く、蘭葉の如く深緑色。
4、5月、茎頭に枝又を分けて、花を開く。
中心は黄筋にして、桃紅色なり。
弁辺りは、白色なり。
苞(つぼみ)、外弁で淡黄色を帯びる。
今、このもの少なし。

07・源氏百合 (みたけ ゆり)
相州・御嶽山(みたけざん)および源氏山中などに産する。
前条の黒駒百合葉の如く深緑色なり。
葉、四方へ互生し、4、5月、茎頭に枝又を分かち、白花が開く。
中心に黄筋あり。
苞(つぼみ)、外にて淡黄色を帯びる。
按じるに(あんじるに・*思うに)、早百合の黄筋なる者なる如し。

08・紅笹百合 (ちちぶ ゆり)
武州・秩父山中に稀に産する。
笹百合の一種。
茎に紫斑あり、葉、細く韮葉(にらは)の如し。
4月頃、茎に、1、2花を開く。
形状、早百合の如し。
但し、紅色にして紅脈筋ある事、絞り(しぼり)の如し。
外弁辺りに褐色を生じる。
これ又、笹百合の上品なる者なり。

09・江州百合 (みかみ ゆり)
江州・比良山(ひらさん)および三上山中に産する。
苗葉、細く、長し。
皺紋(しわもん)あり、茎に紫斑あり、5月、花を開く。
弁辺りは白色で、外弁茎も淡緑色なり。
これ又、早百合の絞りなる者なり。

10・忍百合
奥州・磐手山および浅香山などに産する。
形、百合の如く、葉、山百合にも取れり。
5月頃、弁細の淡紅花を開く。
形、笹百合に似て、弁、明らかなり。
外(そと)、淡黄色を帯び、苞(つぼみ)は、淡緑色なる者なり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-2 に続きます。
2025年 09月 04日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-5
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-5
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
36・吉野百合 (よしのゆり)
和州(わしゅう・*大和の国の異称)、吉野に多し。
葉、狭く、長さ4、5尺(4尺は約121.2cm) 。
茎色、黒く、青にして鹿子(かのこ)百合の如し。
又、巻丹(をにゆり)より太く、花色、白くして、鹿子少なし。
花底は、微し(すこし)青く、輪は4月頃に花を開きて、5、6月にて閉じるなり。

37・天香百合 (やまと ゆり)
これも和州(わしゅう・*大和の国の異称)、金峯山中に産する。
このものを前条の白花で星点鹿子なき者なり。
これに二種あり。
花の内、黄筋黄星なる者なり。
無地は少なく、三種あり、少なくとも今は、黄筋の者は黄筋、少なくと称し、次の条に出る黄星なる者を左(*下)に記す。

38・黄點百合 (きてんゆり)
これも同所で、稀に有り。
前条の白花弁中の黄星點、班在る者なり。
今、世上に少なし。
星無黄筋(ほしなしきすじ)の者を左(*下)に記すであろう。
この類は、至って稀なるなり。

39・白鷗百合 (きすじ ゆり)
今、花戸(*植木屋)に多く育する。
苗は、高さ7、8尺(*7尺は約212.1cm) 許り。
葉は山百合の如し。
又、紅筋に似て、6月、土用中に白花を開く。
中心、黄筋なり。星なし。雪白色で、香気、甚だし。
今、世上にこれは稀にあり、前条の黄筋なる者であろう。

40・八丈百合 (きぼし ゆり)
八丈島および豆州七島の中、小笠原島、大島、三宅島に産し、葉は波堅百合(はろうゆり)の葉に似て、尖り(とがり)、深緑色にて、厚く、光沢あり。
高さ7、8尺(*7尺は約212.1cm)で、6月、土用中に花が開く。
白色に淡黄色を帯びる故に「ハチゼウユリ(*ハチジョウユリ)」又、「オホシマユリ(*オオシマユリ)」などと云う。
まさしく、その根は、鹿子百合(かのこゆり)ににて、淡黄色なり。

41・信州百合 (しなの ゆり)
信州山中に稀に産し、葉・形は早百合(さゆり)に似て、細長し。
5月下旬に白花を開く。
中心より紅の筋ありて星なき故に、信州紅筋(べじすじ)と云うなり。
今は、この品、少なし。

42・紅花紅筋百合
稀に産し、葉、山百合(やまゆり)の如し。
花は山百合の如し。
但し、6月、土用中に紅色の花を開く。
花中に紅筋(べにすじ)あり。
今は、このもの、至りて少なし。
その根、笹百合(ささゆり)と同じく、異なる事なし。

43・鳴川百合
河州(かしゅう・*河内の国の別名)鳴川山(なるかわさん)に産する。
高さ7、8尺(*7尺は約212.1cm)許り。
葉・花ともに山百合の如し。
但し、山百合の紅色中心の黄酢になる者なり。
今、この種は花戸(植木屋)に稀にある。
即ち(すなわち)、山百合の紅花なる者なり。

笹百合類
44・笹葉百合 (ささゆり)
奥州南部および仙台および信州、その他の山中にあり。
苗の高さ2、3尺(*2尺は約60.6cm)許り。
葉は竹葉に似て少し小さく短し。
葉、細く、紫色で、4、5月、茎頂に枝又を分かちて、白花が開く。
形、鉄砲百合の如し。
この種類は、甚だ多し。
その根は、山百合の如し。

45・秋笹百合 (あきざさ ゆり)
深山に産する。
葉・茎ともに春笹百合に同じ。
このものは、7月、花を開く。
白色にして、中に黄筋(きすじ)ありて紅紫の星ありて、横に向いて開く。
今は、この類、なお多し。
常の者は、4、5月、花を開く。
このものは、8月、花を開く者なり。

46・紅邉百合
これも笹百合の一種。
細長くして筋あり。
3月、淡紫緑、淡紅の花を開く。
葉、至って細く、茎に紫斑あり、総して笹百合の事を花戸(植木屋)にて早百合(さゆり)と呼ぶなり。

47・天下百合 (あまがした ゆり)
信州山中、南部にありて、茎高さ7、8寸(*7寸は21.21cm) 許り。
葉は笹百合の如し。淡緑色なり。
6月、土用中に、あるいは、4、5月頃より、山によりて早く花を開く。
白色、淡緑筋が花中にあり、横に向き、あるいは天(そら)を向きて開く事である。

48・相州百合 (かまくら ゆり)
笹百合の一種。
相州・鎌倉辺り、小田原山中に産する。
2月中旬頃、苗葉、盛んなり。
葉・茎ともに常に笹百合の如く、茎は抽んする事、高さ、3寸許り、あるいは4、5寸。
(*3寸は9.09cm)
茎頭に枝又に分かちて花を開く。
白花、淡紅色を帯びるなり。

49・常州百合
常州・筑波山に産する。
春、苗葉を生じる。
葉は至って細く長し。
4、5月、白花を開く。
弁の中心より粉紅色を帯び、苞(つぼみ)咢の開く少し前は淡黄色。
弁外に帯びる花の形は、笹百合の如し。
これも又、笹百合の一種なり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る2-1 に続きます。
2025年 09月 03日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-4
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-4
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
26・唐山丹(からゆり)
今、世上に稀なり。
葉、円(まる)くして、草、立ち、短し。
花山丹(はなひめゆり)の如く、色、緋百合に似て赤し。

27・x百合 (なんきんゆり)
これは、今、絶えて、山丹(ひめゆり)、葉、或いは唐山丹(とうひめゆり)葉に似て、草立ち高く、花唐百合(はなとうゆり)より下品で、山丹花(ひめゆりはな)の如くなり。
少し大きく唐山丹(とうひめゆり)より下品で、花を開くなり。

28・渡良百合 (わたらゆり)
対馬の産なり。
今は絶えたり。
草、高さ、山丹(ひめゆり)の如く、葉は堅く、百合に似ていた。
6月土用中に天(そら)に向かいて花を開く。
淡朱色にして、形、山丹花(ひめゆりはな)の如くなり。
黒点おおく、その根は黒百合の如し。
春月、苗葉を出す。
時に、貝母(ばいも・*アミガサユリ)および石蒜(せきさん・*彼岸花)の如し。

百合類
29・百合 (やまゆり)
處々、山中に多し。
今、武州豊島軍谷原(やわり)村・長命寺の山中、あるいは、道灌山飛鳥山に有り。
葉は巻丹葉(をにゆりは)より長く、細しと云う。
道坂にて竹葉の如し。
土用中に茎頂に出す事、高さ2、3尺(*2尺は約60.6cm) 許り、3、4花を開く。
白色、黄葉なり。
黒点、朱点の二種なり。

30・寶来寺百合 (ほうらいじゆり)
相州(そうしゅう・*相模の国の別称)、寶来寺の山中に多し。
大葉にして長く、蘭葉(らんよう)の如し。
四方へ対生する。
夏、土用に入りて、白花を開く、
大きさ7、8尺(*7尺は約212.1cm) 許り。
黄蕋(きしべ)本(もと)なり。
弁中、蕋(しべ・*花の中心にあり生殖器官)の左右に黒星点、殊に多し。
山百合中に大輪になる者あり
今は、寶来寺山中にも少なくなると云う。

31・筋百合 (すじゆり)
今、花戸(うえきや・*植木屋)にあり。
山百合(やまゆり)の一種。
茎葉(形容)に少し紫班(しはん)ありて、土用中に枝、又に分かれて、花を開く。
白色にして大輪、紅筋(べにすじ)なり。
花中に紅色の筋あり、朱点多く、白花の中の上品なる者なり。
昔々、これを「ツルカハユリ」又、俗に「ベニスジ」と云う者、これなり。

32・黒赤百合 (くろべにゆり)
今は、この種、至りて世上に少なし。
花は山百合(やまゆり)の如く、花、紅筋に黒みなり。
大輪、6月、土用中に開く。
葉茎共に紫班多し。
花の指し渡し、7、8寸(*7寸は21.21cm) 許りあり。
百合中の大輪、上品なる者なり。

33・豊島百合 (としまゆり)
前条、黒紅百合(くろべにゆり)に似て、微(すこ)し小なり。
黒紅百合(くろべにゆり)より赤色なり。
5月、花を開く。細長く大なり。
深緑色に紫班、茎葉共に多し。
今は世上に至りて少なし。
花戸(うえきや・*植木屋)、俗称に紅筋と云うなり。

34・泰平山百合 (たいへいざんゆり)
これも山百合(やまゆり)の一種。
花、大輪、横に向きたり。
白花は、地にして弁の中より本紅色の筋なり。
本は黄色なり。又、紅の星なり。
星は内黄の筋なり。
6月、土用中に花が開く。至って美なり。
このものは世上に至りて少なし。

35・白木百合 (しらきゆり)
山百合の一種。
信州、戸隠の山中に多し。
葉・花共、山百合の如し。そして大なり。
白花の大輪中、黄にして星も黄弁、厚くして、草、立ちて、肥葉、厚し。
その根は山百合の根に似て、黄色に至りて苦がし。
今は、この種は絶へたり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-5 に続きます。
2025年 09月 02日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-3
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-3
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
16・紅葉百合 (もみじゆり)
巻丹(をにゆり)の一種類で、巻丹に似て短く細し。
6月、花を開く。丹朱色にして細弁なり。
形色は、龍田百合の如し。
又、高尾山中に自生すると云う。
故に、高尾ゆりとも云う。

17・龍田百合 (たつたゆり)
巻丹(をにゆり)の一種類なり。
葉は、平戸百合に似て短く、深緑色なり。
花も、6月 土用中に開く。
巻丹花の如くして、黒胡麻班星なり。
受咲にして、萱草(かんそう)の花の如し。
その根は、平戸百合に似て、少し小さく白色、山丹(ひめゆり)根の如し。

18・薹百合
越中富山の産で、形状は、巻丹(をにゆり)の如く、葉に至りて細葉なり。
夏、土用に入りて、花を開く。
丹紅色にして黒星点、多し。
茎、紫色なり、巻丹(をにゆり)の如し。

19・石百合 (いしゆり)
前条、国産にして細葉なり。
形色は、山丹(ひめゆり)葉(よう)に似て長し。
花山丹花(はなひめゆりか)の如くにして、黒星なり。
車百合の花に似たり。

20・山丹 (ひめゆり)
春、宿根なり、苗に生じる。
細葉にして淡緑色なり。
形は、柴胡葉に似て短く、石榴葉(ざくろよう)の如し。
花は小輪で、天(そら)に向いて4月に開く。
紅色、あるいは紅色に無星のもの、又、黄色花に無星のもの、又、白花のものなど、数種あり。
その根は、黒百合および貝母(ばいも・*アミガサユリ)根の如し。

21・無星赤山丹 (ほしなしあかひめゆり)
今、花戸(かこ・*植木屋)に多し。
山丹(ひめゆり)中に上品なるものである。
花に星、なり。
赤紅色なるものなり。

22・黄山丹 (きひめゆり)
今、花戸(かこ・*植木屋)に多し。
これは、山丹(ひめゆり)の黄なるもので、花弁に黒星なり。
黄平戸百合花の如し。
又、無星(むせい)のものなり、又、白花もあり。

23・無星黄山丹 (ほしなし きひめゆり)
今、花戸(かこ・*植木屋)に多し。
前条の黄花星(きかほし)なき者なるもので、上品なる者なり。

24・白山丹
今は、世上に至りて稀なり。
山丹(ひめゆり)の白花なるものなり。

25・緋百合 (ひゆり)
山丹(*ひめゆり)の一種。
細葉、花山丹(はなひめゆり)の如し。
極朱色なりて4月、花を開く者なり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-4 に続きます。

