2025年 09月 01日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-2
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-2
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
06・赤平戸百合
平戸百合の一種。
花、淡赤色にして黒星なるものなり。
又、江戸平戸百合とも云へる。

07・淡黄平戸
前條の一種にして花、淡黄色なるものなり。

08・茶平戸
前條の一種にして淡赤(うすあか)にて茶褐色の花を開くものなり。

09・香百合(にほひゆり)
紀州熊野 山中に生へ、その形、卷丹 (をにゆり)なり。
小さくして狭く、柳葉の如し。
花、紅色(こうしょく)にして紅暈深く、香気(こうき)甚々し。
弁(べん)に星なりて淡(うす)し、又、香気(こうき)百合とも云われる。

車葉類
10・傘百合 (かさゆり)
深山に産する。
12、3葉が対生し、傘の如く小葉が互生(ごせい)し、上に山舟(ひめゆり)の如き葉が開く。
淡紅色にして車百合の花に似て、褐紅色を帯び、その根は黒百合に似て、小さな白色、又、車百合の類なるが如し。

11・車百合 (くるまゆり)
日光の山中に産し、葉形は竹島百合および傘百合の如し。
5・6月、茎戴きに花を開く。
形・色は、傘百合に似て丹黄色である。
今は、諸州の深山に産する。花戸(かこ・*植木屋)に多し。
その根小塊は、黒百合の如し。
また、貝母根(ばいもこん)にも似て花戸(かこ・*植木屋)にて多く育つ。

12・竹島百合 (たけしまゆり)
傘百合の類で、車百合の如く葉車に生じ、葉茎を抽する。
高さ、7、8尺(*7尺は約212.1cm)、葉、2,3楷をなす。
上は6、7花を生じ、形は黒百合の花の如し。
黄色黒星多く、弁厚で車百合より大きく背淡黄色である。
今、世上に少なし。

13・朝鮮傘百合 (ちょうせんゆり)
先年、舶来ゆり、葉、車百合の如くにして、大葉など竹島百合の葉に似て1楷なり。
脚葉は鹿子ゆるの如く、二葉が互生する。
その上に7、8葉を生じて傘をなす。
形は車百合の葉に似て大なり。
6月土用中に茎を抽する。小葉に互生する。
上に一花が開く。
山丹花の如くで色、車百合の如し。

14・黒百合 (くろゆり)
深山に生じる。
葉、5葉で対生し、形、車百合に似て2,3楷をなす。
光沢がありて深緑色なり。
4月、貝母(*ばいも・アミガサユリ)の如き花を開く。
紫黒色にして下向いて開くなり。
*貝母(ばいも)は、中国原産のユリ科の多年草で、茎の鱗茎が貝殻のような形をしているので、この名がある。

15・水百合 (みづゆり)
天保年中に八丈島より渡り、形状は巻丹の如し。
葉、少し細く短し。
6月土用中に花を開く。
巻丹に似て、細弁丹紅色なる事、紅葉百合の如し。
その根水に付いて、栽培、能く生じ易し故に水百合、又、水生百合とも云う。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-3 に続きます。
2025年 08月 31日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-1
行方 水谿の「百合図譜」を観る1-1
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
*行方 水谿(なめかた すいけい)は、江戸後期に活躍した本草家であり、本書は明治6年(1873年)に執筆された百合に特化した植物画譜であり、ユリの葉や花弁の細部まで丁寧に描かれ、絵画としての美しさも兼ね備えているものです。
*本の体裁(構成)としては、左頁に画像があり、次の頁の右側、すなわち、「画像の裏面」に「説明文」があります。
以降、この形態で続いています。


*よって、非常に見づらいので、以降は、「花名・説明文の意訳・画像」の順としました。
↓
目録



【本文】
卷丹類
01・卷丹 (をにゆり・*漢名は、ケンタン)
今、所々に、多くを作るものなり。春、苗を生じる。
葉、互いに生じる。葉間に実を結ぶ。
夏、土用に至って、茎の高さ7、8尺(*7尺は約212.1cm)、
茎頂に梢(こずえ)を分けて花を開く。
六弁、丹赤色弁に胡麻(ゴマ)星、多くあり。
その根は、尋常は百合にして今、食用にするもの、これである。

02・千葉卷丹 (やへをにゆり)
前條の千弁(やへ)なるものなり。

03・白花千葉卷丹
前條の千弁(やへ)なるものなり。
その根、白くして龍田百合(たつたゆり)根の如し。
今、絶へたり。

04・扇百合 (あふぎ ゆり)
これも卷丹(をにゆり)の接花(せっか)なるものなり。

05・平戸百合
卷丹(をにゆり)の類にして小輪なり。
花の下(もと)へ苦界て開く葉、細く、山丹葉(ひめゆりよう)に似て長し。
6月中に開く。
淡黄色に黒星あり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-2 に続きます。
2025年 08月 30日
京都の風に吹かれて 竹久夢二 と 京都府立図書館
京都の風に吹かれて 竹久夢二 と 京都府立図書館
京都府立図書館
【位置】京都市左京区岡崎成勝寺町9
【交通】市バス「京都会館美術館前」下車すぐ
TEL 075-762-4655
大正元年(1912年)11月(*23日から12月2日)、夢二は,初めての個展である第一回夢二作品展覧会を京都府立図書館で開催する。

第一回夢二作品展覧会 の資料(京都府立図書館報 より)


上記資料の2番目 以下、青字は本文ママ
● 夢二と京都の日本画
「竹久夢二と日本画―「第一回夢二作品展覧会」から「竹久夢二抒情画展覧会」までを中心に」(山本香瑞子)掲載によると、
・・・大正元年(1912年)11月(*23日から12月2日)、夢二は,初めての個展である第一回夢二作品展覧会を京都府立図書館にて開催する。
出品目録(no.17)によると
第1室は「グワッシぺン画」25点、
第2室は「水墨及彩画」31点、
第3室は「油絵、水彩画、ペン画等」57点、
第4室は「ペン画、墨絵」24点という構成である。 とある。
これを踏まえて、
上記資料の4番目
● 竹久夢二展 描くことが生きること
「第一回夢二作品展覧会」の前後について」(井上芳子)の掲載によると、
・・・第二室には、労働する人々の姿や芸者、かけおちの場面などを独特の視線で画いた版木りの水墨画および水彩画31点を展示し・・夢二にとって丹蘭介は単に作品を並べるだけではなく、自分がどのような考えで仕事をしている作家なのかを示すパフォーマンスの場でもあったようだ。・・・
そして参考図版として、目録が掲載されている。
事情により画像は省略します。
第一回展覧会作品集(A)ヶ-ス*つるや画房発行
1 炬燵 第二室14
2 袂ゆたかに たらしかど 第二室19
3 とつおいて 第二室20
4 樺色の夕月 第二室27 *〈樺色の夕日〉の謝りか
5 銚子の海岸 第三室4
6 すみだ川 第三室35
7 ゆふべゆふべ 第三室44
8 コスモス 第三室51
9 白暮 第三室54
10 岬へ 第三室55
第一回展覧会作品集(B)ヶ-ス*つるや画房発行
旅芸者 第三室22 *目録
ねむり 第三室41*目録
・・・第1回展目録の冒頭で「見知らぬ島へ」という詩が掲げられているが、
そこには、
「うしなひし むかしのわれのかなしさに われはくななり。
うき旅の 路はつきて あやめもわかぬ 岬にたてり。
うしなひしものは もとめむもせんなし よしやよしや
みしらぬ島の わがすがたこそは あたらしきわがこヽろなれ。
いざや いざや みしらぬ島へ。」と。
どこかに置き去りにしてきた過去の自分と、未知の世界に向かおうとする自分との間でふるえる心情がうたわれている。・・・
~~~~~~~~~~
附録
美人のすべて リターンズ の展示
京都・嵐山・福田美術館、
会期 2021年
(後期)6月9日(水)~7月4日(日)
の内より、写真撮影可のものより。
【キャプション】
[春]「婦人グラフ」表紙原画
竹久夢二
大正15年(1926)
お正月号にふさわしい初々しさ
雑誌「婦人グラフ」は、大正13年から5年にわたって刊行されましたが、色刷りの木版画やカラー写真を1冊ずつに貼り込むという、贅沢(ぜいたく)なつくりの誌面で話題を呼びました。
その表紙絵を、夢二は18回も担当。本作は大正15年の1月号のために描かれた原画です。
トランプに興じている女性の着物や背景には、新春にふさわしく梅の花がデザインされています。
襟元からは肌着がわずかに覗いており、当時の生活感を伝えています。



上記、「美人のすべて リターンズ(福田美術館)の全貌4」
「 」で検索すると、夢二の他作品・20数点を見ることができます。
これにて、「今年の夏は竹久夢二特集・・」のシリーズは、取り敢えず終了させていただきます。
長きに亘り、ご愛読、ありがとうございました。
京都の風に吹かれて 次回に続きます。
2025年 08月 29日
京都の風に吹かれて 今年の夏は竹久夢二特集・夢二、暮笛~絵入歌集~ を観る10
京都の風に吹かれて 今年の夏は竹久夢二特集・夢二、暮笛~絵入歌集~ を観る10
「京都の風に吹かれて」今年の夏は、竹久夢二の特集です。
本編は、夢二、暮笛~絵入歌集~、三陽堂書店、大正5年 を、画像は全て国立国会図書館蔵のものより、あくまで趣味的に観るものです。
本編(夢二絵入歌集)の初版は、大正5年12月13日です。
*本編は、夢二の心に響いた歌を あくまで趣味的に観るものでもあります。
なので、投稿者は、その出典を出来るだけ追いかけて見ることにしました。
91・
ぬばたまの 黒髪山の 山菅に
小雨 ふりしき しくしく おもほゆ
*〈出典〉
万葉集 第11巻 2456番
作者不詳
【意味】黒髪山の草葉に、しきりに小雨が降ります・・
その小雨のように、しきりに あの女(ひと)のことが思われます。

92・
とのもには 雪ふりけらし 潮鳴の
ひまひま にきく 濱千鳥かな

93・
目もはるに 秋の野のへを わたる鳥
その鳥のごと 旅に いでまし
*目も遥(はる)に は、目の届く限り遠く遥かな様を云う。

94・
頬かぶりの男と 肩を ならべゆく
和泉の國の 秋風の路

95・
妹か門 ゆきすぎかねて 草結ぶ
風 吹きとくな また かへりみむ
*〈出典〉
万葉集 第12巻 3056番
作者不詳
【意味】あなたの家の門前を行き過ぎて、二人が合わさるようにと草を結びました。
風よ、その結び目を吹き解かないでおくれ。
また、帰りに見てみるので・・

96・
病める児は ハモニカをふき 夜にいりぬ
唐畑の 黄なる 月の出
*〈出典〉
北原 白秋 「桐の花」 夏 郷里 柳河に帰りて うたへる歌、より

97・
秋ゆかば たぐひ まれなる 悪運の
いやはかなき身 いづち すてなむ

98・
幾 山河 越えさり ゆかば 寂しさの
はてなむ國ぞ 今日も 旅ゆく
*〈出典〉
若山 牧水 春夏秋冬-春- 海の声 (自費出版の歌集)より
【意味】 幾つの山川を越えて行けば、淋しさが果てる国に辿り着けるのだろうか。
その思いを胸に今日も、旅を続ける。

99・
うらみごと たれにせんとに あらねども
かなしきは わがき その白珠

100・
たまきはる 命ひかりて 触りたれば
否とは言ひて けぬがにもよる
*〈出典〉
斎藤 茂吉 歌集「赤光(しゃっこう)」 初版 より
たまきはる命(いのち)ひかりて 触(ふ)りたれば
否(いな)とは言ひて消(け)ぬがにも寄る
*初版で、茂吉の愛した女性「おひろ」と題された相聞歌群の一首。
たまきはる は、魂が極まる の意。
改版で、茂吉は、「たまきはる 命ひかりて」を「わが命 つひに光りて」に変更したのであった。

奥付

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これにて、この編・今年の夏は竹久夢二特集・夢二、暮笛~絵入歌集~ を観るは、終了しました。
長きにわたり、ご愛読、ありがとうございました。
次回 (竹久夢二 と 京都府立図書館) 、に続きます。
2025年 08月 28日
京都の風に吹かれて 今年の夏は竹久夢二特集・夢二、暮笛~絵入歌集~ を観る9
京都の風に吹かれて 今年の夏は竹久夢二特集・夢二、暮笛~絵入歌集~ を観る9
「京都の風に吹かれて」今年の夏は、竹久夢二の特集です。
本編は、夢二、暮笛~絵入歌集~、三陽堂書店、大正5年 を、画像は全て国立国会図書館蔵のものより、あくまで趣味的に観るものです。
本編(夢二絵入歌集)の初版は、大正5年12月13日です。
*本編は、夢二の心に響いた歌を あくまで趣味的に観るものでもあります。
なので、投稿者は、その出典を出来るだけ追いかけて見ることにしました。
81・
筑波根の 峰の白雪 ありやなしや
さゃかに 雁の なきつれてゆく

82・
深川の 夏の夜 こひし 舟唄の
木の香に まじり 水のながるヽ

83・
泣きぬれて 今来しものを あはれとも
驚きもせで 相 見る人よ

84・
茜さす 紫野ゆき 標野ゆき
野守は みずや きみが袖ふる
*〈出典〉
万葉集 第1巻 20番
額田王(ぬかたのおおきみ)
【意味】茜色の紫草が生えている野原を、あちこちに行って、私に袖を振るなんて。
御料地(標野)の番人が見るではありませんか。
奈良県香芝市役所のすぐ南、総合体育館・駐車場前に歌碑がある。

85・
圓山の 椅子に凭りて あはれにも
娼婦あそぶ 春のゆふぐれ

86・
わが せこは せとのあさ川 かちわたり
菖蒲 荷ひて 都べにゆく

87・
厨女の 白き前掛 しみじみと
青葱の香の しみて 雪ふる
*〈出典〉
北原 白秋 春を待つ間 より
【意味】白い前掛けの廚女が調理を始め、しみじみと降る雪に、青葱の香が染みているようだ。

88・
橘の かげふむ路の 八衢に
ものをぞ おもふ 妹に逢はずて
*〈出典〉
万葉集 第2巻 125番
三方 沙弥 (みかたのさみ)
【意味】橘の蔭を踏む別れ道のように、あれこれと思ってしまうのです。
あなたに逢わないので・・
*八衢(やちまた)は、いくつも道が交叉している所、の意。
三方 沙弥は、園臣生羽(そののおみ いくは)の娘と婚姻したが、彼女がすぐに病に伏して通えなくなってしまったのであった。

89・
いつしかに 春の名残と なりにけり
昆布干場の たんぽヽの花
*〈出典〉
北原 白秋 「桐の花」より
*白秋一家は、大正2年5月から大正3年2月まで、妻・俊子の肺結核療養のために三崎に転居した、その頃の作品である。

90・
わが背子を 大和へやると 小夜ふけて
あかつき露に わがたちぬれし
*〈出典〉
万葉集 第2巻 105番
大伯 皇女 (おほくの ひめみこ)
【意味】あの子を大和へ送り返そうとして夜が更けて、暁の露に経ち濡れてしまった。
*わが背子は、実弟の大津皇子のことである。
背景に、万葉集に伝わる大津皇子事件(天武天皇の亡き後、皇位継承者のひとり・大津皇子が謀反の嫌疑を掛けられ、刑死した)がある。

京都の風に吹かれて 今年の夏は竹久夢二特集・夢二、暮笛~絵入歌集~ を観る10 に、続きます。

