2025年 09月 03日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-4
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-4
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
26・唐山丹(からゆり)
今、世上に稀なり。
葉、円(まる)くして、草、立ち、短し。
花山丹(はなひめゆり)の如く、色、緋百合に似て赤し。

27・x百合 (なんきんゆり)
これは、今、絶えて、山丹(ひめゆり)、葉、或いは唐山丹(とうひめゆり)葉に似て、草立ち高く、花唐百合(はなとうゆり)より下品で、山丹花(ひめゆりはな)の如くなり。
少し大きく唐山丹(とうひめゆり)より下品で、花を開くなり。

28・渡良百合 (わたらゆり)
対馬の産なり。
今は絶えたり。
草、高さ、山丹(ひめゆり)の如く、葉は堅く、百合に似ていた。
6月土用中に天(そら)に向かいて花を開く。
淡朱色にして、形、山丹花(ひめゆりはな)の如くなり。
黒点おおく、その根は黒百合の如し。
春月、苗葉を出す。
時に、貝母(ばいも・*アミガサユリ)および石蒜(せきさん・*彼岸花)の如し。

百合類
29・百合 (やまゆり)
處々、山中に多し。
今、武州豊島軍谷原(やわり)村・長命寺の山中、あるいは、道灌山飛鳥山に有り。
葉は巻丹葉(をにゆりは)より長く、細しと云う。
道坂にて竹葉の如し。
土用中に茎頂に出す事、高さ2、3尺(*2尺は約60.6cm) 許り、3、4花を開く。
白色、黄葉なり。
黒点、朱点の二種なり。

30・寶来寺百合 (ほうらいじゆり)
相州(そうしゅう・*相模の国の別称)、寶来寺の山中に多し。
大葉にして長く、蘭葉(らんよう)の如し。
四方へ対生する。
夏、土用に入りて、白花を開く、
大きさ7、8尺(*7尺は約212.1cm) 許り。
黄蕋(きしべ)本(もと)なり。
弁中、蕋(しべ・*花の中心にあり生殖器官)の左右に黒星点、殊に多し。
山百合中に大輪になる者あり
今は、寶来寺山中にも少なくなると云う。

31・筋百合 (すじゆり)
今、花戸(うえきや・*植木屋)にあり。
山百合(やまゆり)の一種。
茎葉(形容)に少し紫班(しはん)ありて、土用中に枝、又に分かれて、花を開く。
白色にして大輪、紅筋(べにすじ)なり。
花中に紅色の筋あり、朱点多く、白花の中の上品なる者なり。
昔々、これを「ツルカハユリ」又、俗に「ベニスジ」と云う者、これなり。

32・黒赤百合 (くろべにゆり)
今は、この種、至りて世上に少なし。
花は山百合(やまゆり)の如く、花、紅筋に黒みなり。
大輪、6月、土用中に開く。
葉茎共に紫班多し。
花の指し渡し、7、8寸(*7寸は21.21cm) 許りあり。
百合中の大輪、上品なる者なり。

33・豊島百合 (としまゆり)
前条、黒紅百合(くろべにゆり)に似て、微(すこ)し小なり。
黒紅百合(くろべにゆり)より赤色なり。
5月、花を開く。細長く大なり。
深緑色に紫班、茎葉共に多し。
今は世上に至りて少なし。
花戸(うえきや・*植木屋)、俗称に紅筋と云うなり。

34・泰平山百合 (たいへいざんゆり)
これも山百合(やまゆり)の一種。
花、大輪、横に向きたり。
白花は、地にして弁の中より本紅色の筋なり。
本は黄色なり。又、紅の星なり。
星は内黄の筋なり。
6月、土用中に花が開く。至って美なり。
このものは世上に至りて少なし。

35・白木百合 (しらきゆり)
山百合の一種。
信州、戸隠の山中に多し。
葉・花共、山百合の如し。そして大なり。
白花の大輪中、黄にして星も黄弁、厚くして、草、立ちて、肥葉、厚し。
その根は山百合の根に似て、黄色に至りて苦がし。
今は、この種は絶へたり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-5 に続きます。
2025年 09月 02日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-3
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-3
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
16・紅葉百合 (もみじゆり)
巻丹(をにゆり)の一種類で、巻丹に似て短く細し。
6月、花を開く。丹朱色にして細弁なり。
形色は、龍田百合の如し。
又、高尾山中に自生すると云う。
故に、高尾ゆりとも云う。

17・龍田百合 (たつたゆり)
巻丹(をにゆり)の一種類なり。
葉は、平戸百合に似て短く、深緑色なり。
花も、6月 土用中に開く。
巻丹花の如くして、黒胡麻班星なり。
受咲にして、萱草(かんそう)の花の如し。
その根は、平戸百合に似て、少し小さく白色、山丹(ひめゆり)根の如し。

18・薹百合
越中富山の産で、形状は、巻丹(をにゆり)の如く、葉に至りて細葉なり。
夏、土用に入りて、花を開く。
丹紅色にして黒星点、多し。
茎、紫色なり、巻丹(をにゆり)の如し。

19・石百合 (いしゆり)
前条、国産にして細葉なり。
形色は、山丹(ひめゆり)葉(よう)に似て長し。
花山丹花(はなひめゆりか)の如くにして、黒星なり。
車百合の花に似たり。

20・山丹 (ひめゆり)
春、宿根なり、苗に生じる。
細葉にして淡緑色なり。
形は、柴胡葉に似て短く、石榴葉(ざくろよう)の如し。
花は小輪で、天(そら)に向いて4月に開く。
紅色、あるいは紅色に無星のもの、又、黄色花に無星のもの、又、白花のものなど、数種あり。
その根は、黒百合および貝母(ばいも・*アミガサユリ)根の如し。

21・無星赤山丹 (ほしなしあかひめゆり)
今、花戸(かこ・*植木屋)に多し。
山丹(ひめゆり)中に上品なるものである。
花に星、なり。
赤紅色なるものなり。

22・黄山丹 (きひめゆり)
今、花戸(かこ・*植木屋)に多し。
これは、山丹(ひめゆり)の黄なるもので、花弁に黒星なり。
黄平戸百合花の如し。
又、無星(むせい)のものなり、又、白花もあり。

23・無星黄山丹 (ほしなし きひめゆり)
今、花戸(かこ・*植木屋)に多し。
前条の黄花星(きかほし)なき者なるもので、上品なる者なり。

24・白山丹
今は、世上に至りて稀なり。
山丹(ひめゆり)の白花なるものなり。

25・緋百合 (ひゆり)
山丹(*ひめゆり)の一種。
細葉、花山丹(はなひめゆり)の如し。
極朱色なりて4月、花を開く者なり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-4 に続きます。
2025年 09月 01日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-2
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-2
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
06・赤平戸百合
平戸百合の一種。
花、淡赤色にして黒星なるものなり。
又、江戸平戸百合とも云へる。

07・淡黄平戸
前條の一種にして花、淡黄色なるものなり。

08・茶平戸
前條の一種にして淡赤(うすあか)にて茶褐色の花を開くものなり。

09・香百合(にほひゆり)
紀州熊野 山中に生へ、その形、卷丹 (をにゆり)なり。
小さくして狭く、柳葉の如し。
花、紅色(こうしょく)にして紅暈深く、香気(こうき)甚々し。
弁(べん)に星なりて淡(うす)し、又、香気(こうき)百合とも云われる。

車葉類
10・傘百合 (かさゆり)
深山に産する。
12、3葉が対生し、傘の如く小葉が互生(ごせい)し、上に山舟(ひめゆり)の如き葉が開く。
淡紅色にして車百合の花に似て、褐紅色を帯び、その根は黒百合に似て、小さな白色、又、車百合の類なるが如し。

11・車百合 (くるまゆり)
日光の山中に産し、葉形は竹島百合および傘百合の如し。
5・6月、茎戴きに花を開く。
形・色は、傘百合に似て丹黄色である。
今は、諸州の深山に産する。花戸(かこ・*植木屋)に多し。
その根小塊は、黒百合の如し。
また、貝母根(ばいもこん)にも似て花戸(かこ・*植木屋)にて多く育つ。

12・竹島百合 (たけしまゆり)
傘百合の類で、車百合の如く葉車に生じ、葉茎を抽する。
高さ、7、8尺(*7尺は約212.1cm)、葉、2,3楷をなす。
上は6、7花を生じ、形は黒百合の花の如し。
黄色黒星多く、弁厚で車百合より大きく背淡黄色である。
今、世上に少なし。

13・朝鮮傘百合 (ちょうせんゆり)
先年、舶来ゆり、葉、車百合の如くにして、大葉など竹島百合の葉に似て1楷なり。
脚葉は鹿子ゆるの如く、二葉が互生する。
その上に7、8葉を生じて傘をなす。
形は車百合の葉に似て大なり。
6月土用中に茎を抽する。小葉に互生する。
上に一花が開く。
山丹花の如くで色、車百合の如し。

14・黒百合 (くろゆり)
深山に生じる。
葉、5葉で対生し、形、車百合に似て2,3楷をなす。
光沢がありて深緑色なり。
4月、貝母(*ばいも・アミガサユリ)の如き花を開く。
紫黒色にして下向いて開くなり。
*貝母(ばいも)は、中国原産のユリ科の多年草で、茎の鱗茎が貝殻のような形をしているので、この名がある。

15・水百合 (みづゆり)
天保年中に八丈島より渡り、形状は巻丹の如し。
葉、少し細く短し。
6月土用中に花を開く。
巻丹に似て、細弁丹紅色なる事、紅葉百合の如し。
その根水に付いて、栽培、能く生じ易し故に水百合、又、水生百合とも云う。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-3 に続きます。
2025年 08月 31日
京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-1
行方 水谿の「百合図譜」を観る1-1
本編は、並列タイトル「百合譜識」。
行方 水谿(なめかた すいけい)著 田島耕(出版社)、明治29年刊 の国立国会図書館蔵のものを、あくまで趣味的に観ていくものです。
*行方 水谿(なめかた すいけい)は、江戸後期に活躍した本草家であり、本書は明治6年(1873年)に執筆された百合に特化した植物画譜であり、ユリの葉や花弁の細部まで丁寧に描かれ、絵画としての美しさも兼ね備えているものです。
*本の体裁(構成)としては、左頁に画像があり、次の頁の右側、すなわち、「画像の裏面」に「説明文」があります。
以降、この形態で続いています。


*よって、非常に見づらいので、以降は、「花名・説明文の意訳・画像」の順としました。
↓
目録



【本文】
卷丹類
01・卷丹 (をにゆり・*漢名は、ケンタン)
今、所々に、多くを作るものなり。春、苗を生じる。
葉、互いに生じる。葉間に実を結ぶ。
夏、土用に至って、茎の高さ7、8尺(*7尺は約212.1cm)、
茎頂に梢(こずえ)を分けて花を開く。
六弁、丹赤色弁に胡麻(ゴマ)星、多くあり。
その根は、尋常は百合にして今、食用にするもの、これである。

02・千葉卷丹 (やへをにゆり)
前條の千弁(やへ)なるものなり。

03・白花千葉卷丹
前條の千弁(やへ)なるものなり。
その根、白くして龍田百合(たつたゆり)根の如し。
今、絶へたり。

04・扇百合 (あふぎ ゆり)
これも卷丹(をにゆり)の接花(せっか)なるものなり。

05・平戸百合
卷丹(をにゆり)の類にして小輪なり。
花の下(もと)へ苦界て開く葉、細く、山丹葉(ひめゆりよう)に似て長し。
6月中に開く。
淡黄色に黒星あり。

京都の風に吹かれて 行方 水谿の「百合図譜」を観る1-2 に続きます。
2025年 08月 30日
京都の風に吹かれて 竹久夢二 と 京都府立図書館
京都の風に吹かれて 竹久夢二 と 京都府立図書館
京都府立図書館
【位置】京都市左京区岡崎成勝寺町9
【交通】市バス「京都会館美術館前」下車すぐ
TEL 075-762-4655
大正元年(1912年)11月(*23日から12月2日)、夢二は,初めての個展である第一回夢二作品展覧会を京都府立図書館で開催する。

第一回夢二作品展覧会 の資料(京都府立図書館報 より)


上記資料の2番目 以下、青字は本文ママ
● 夢二と京都の日本画
「竹久夢二と日本画―「第一回夢二作品展覧会」から「竹久夢二抒情画展覧会」までを中心に」(山本香瑞子)掲載によると、
・・・大正元年(1912年)11月(*23日から12月2日)、夢二は,初めての個展である第一回夢二作品展覧会を京都府立図書館にて開催する。
出品目録(no.17)によると
第1室は「グワッシぺン画」25点、
第2室は「水墨及彩画」31点、
第3室は「油絵、水彩画、ペン画等」57点、
第4室は「ペン画、墨絵」24点という構成である。 とある。
これを踏まえて、
上記資料の4番目
● 竹久夢二展 描くことが生きること
「第一回夢二作品展覧会」の前後について」(井上芳子)の掲載によると、
・・・第二室には、労働する人々の姿や芸者、かけおちの場面などを独特の視線で画いた版木りの水墨画および水彩画31点を展示し・・夢二にとって丹蘭介は単に作品を並べるだけではなく、自分がどのような考えで仕事をしている作家なのかを示すパフォーマンスの場でもあったようだ。・・・
そして参考図版として、目録が掲載されている。
事情により画像は省略します。
第一回展覧会作品集(A)ヶ-ス*つるや画房発行
1 炬燵 第二室14
2 袂ゆたかに たらしかど 第二室19
3 とつおいて 第二室20
4 樺色の夕月 第二室27 *〈樺色の夕日〉の謝りか
5 銚子の海岸 第三室4
6 すみだ川 第三室35
7 ゆふべゆふべ 第三室44
8 コスモス 第三室51
9 白暮 第三室54
10 岬へ 第三室55
第一回展覧会作品集(B)ヶ-ス*つるや画房発行
旅芸者 第三室22 *目録
ねむり 第三室41*目録
・・・第1回展目録の冒頭で「見知らぬ島へ」という詩が掲げられているが、
そこには、
「うしなひし むかしのわれのかなしさに われはくななり。
うき旅の 路はつきて あやめもわかぬ 岬にたてり。
うしなひしものは もとめむもせんなし よしやよしや
みしらぬ島の わがすがたこそは あたらしきわがこヽろなれ。
いざや いざや みしらぬ島へ。」と。
どこかに置き去りにしてきた過去の自分と、未知の世界に向かおうとする自分との間でふるえる心情がうたわれている。・・・
~~~~~~~~~~
附録
美人のすべて リターンズ の展示
京都・嵐山・福田美術館、
会期 2021年
(後期)6月9日(水)~7月4日(日)
の内より、写真撮影可のものより。
【キャプション】
[春]「婦人グラフ」表紙原画
竹久夢二
大正15年(1926)
お正月号にふさわしい初々しさ
雑誌「婦人グラフ」は、大正13年から5年にわたって刊行されましたが、色刷りの木版画やカラー写真を1冊ずつに貼り込むという、贅沢(ぜいたく)なつくりの誌面で話題を呼びました。
その表紙絵を、夢二は18回も担当。本作は大正15年の1月号のために描かれた原画です。
トランプに興じている女性の着物や背景には、新春にふさわしく梅の花がデザインされています。
襟元からは肌着がわずかに覗いており、当時の生活感を伝えています。



上記、「美人のすべて リターンズ(福田美術館)の全貌4」
「 」で検索すると、夢二の他作品・20数点を見ることができます。
これにて、「今年の夏は竹久夢二特集・・」のシリーズは、取り敢えず終了させていただきます。
長きに亘り、ご愛読、ありがとうございました。
京都の風に吹かれて 次回に続きます。

